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かり。(かりまる)が書く不定期更新ブログ 腐向け発言注意

   
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鬼歩き(過去話)
とある妖怪さんのお話です。
文章力が欲しい…










あの子はいつも私の所にやって来る。

誰もいない川辺で考えていた。
鬼を恐れない妖怪とはそんなにも珍しいものなのか。
それとも鬼以上に恐ろしいとでも思われているのだろうか。

あの子以外は誰も私に近づこうとしない。

あの子の名は確か…一縷と言ったかな。
初めて会った時、あの子は「鬼が目の前にいるのに何故逃げようとしない」と私に問いた。
あまりにも面白く感じたものだから私は「何故逃げる必要があるのか」と質問で返してやった。
するとあの子は首を傾げながらも必死に考えていたな。
私はそんな小さな姿がとても愛おしく見えた。

その後、あの子はほぼ毎日のように川辺にいる私に会いに来てくれた。

あの子のとは私は似ている。
あの子は鬼、人でも妖怪でも幽霊でもない。
異色の存在であり、周りからも距離を置かれる。
私は妖力が強すぎるからと言って周りから虐げられてきた。

お互い似た者同士だと言って笑い合ったのを覚えている。
二人でいる時は幸せだった。
楽しかった。


だが、私は妖力を封印された。
私の妖力を封印したのはあの子の父親だ。
彼は私の妖力封印し、あの子を守りながら、沢山の妖怪と戦い、殺し、命を落とした。
最後の言葉に「一縷を守ってくれ」と言い残して私の妖力を封印したのだ。
妖力を封印なんかしておいて守れとは、矛盾している。




今なら解る。
彼が何故私を封印したのか、何故私に“一縷”を託したのか。

それは愛する我が子を守るためだ。
そして我が子の理解者として私を残す為に殺さず、妖力を封印した。

でも、私は一縷とはもう共にいられない。

妖力が封印された後は地獄のようだった。
色々な奴等に酷い仕打ちを受けた。
他の妖怪達にも笑われ、好き放題されてきた。
そんな姿をあの子には見せられなかった。
私はなにも言わずにあの子のもとを離れた。
突然離れたことに罪悪感はあった。

だが、私はお前が憎く感じた。
お前は守られた。
なのに、私は残された。
あのまま妖力を封印なんかせずに他の妖怪達と一緒に殺されたかった。
こんなに酷い仕打ち、初めてだ。
初めてお前を憎んだ。初めてお前を恨んだ。










それでもまだ昔に戻りたいと願う私が憎い。
昔のように、また…

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