忍者ブログ

かり。(かりまる)が書く不定期更新ブログ 腐向け発言注意

   
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

鬼歩き
続きの所から小説です。
鬼歩きのちょっとしたやつ。本編にはあまり関わらない感じなやつです。

暖かい春。
眠くなりながらも自分は厨房で菓子を作っていた。
そんな時、外から人の気配が近づいてきたので割烹着を脱いでショーケースの裏に回った。

店に来たのは常連の老婆。
もう60年ほど前から度々店に来ている。

「いらっしゃい。今日は何にする?」

ショーケースの前にいる老婆はゆっくりと視線を巡らせて並んでいる菓子を見た。

正直に言うと彼女がどの菓子を選ぶかは大体わかっている。

「今日は…これと、これにするわね。」

そう言うと老婆は小さめの和菓子を二つ指差した。
二つとも桃色の花の形をした菓子だ。
女性らしい選択。

「はいよ。」

老婆の選んだ菓子二つを最初に紙袋に入れ、その後に一つ菓子を入れた。

「お一つ多いわよ?」
「新作なんで、試供品みたいなもんだよ。」

彼女は微笑みながらも「じゃあ」と言って商品の入った紙袋を受け取ってくれた。

本当は、昔から俺を怖がらないでこの店に来てくれるっていう感謝の気持ちなんだけどね。
でもそれは黙っておく。

店の少し先まで送り出した後、また退屈な店の中に戻る。
お客が来るとそれなりに楽しいこともあるが誰も来ない時は退屈だ。
ただでさえ俺を恐がってこの店に来る人間は少ない。

「はぁ~…暇だ。」

普段は自分の菓子屋にいることが多いが高校にも一応だが通っている。
政府の命令で「お前自身も人間に慣れろ」とのことだ。
むしろ自分にとっては「お前らもいい加減俺に慣れろ」と言ってもいいくらいだ。
もうこの地に住んで50年ほど経つのに未だ人間がこの俺を恐れているのがよく分からない。
何で妖怪と幽霊はよくて、俺はダメなのか。
そんなに鬼ってもんは恐いものなのかと自分に問いかける。

「別に構わないか。」


が、結局は考えるのか面倒になって次のことを考え始める。



「あ、今日は高校だった。」

忘れてた。

拍手[3回]

PR
   
Comments
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
Trackback

TrackbackURL

Copyright ©  -- ちびねこ。 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]